食虫植物のウツボカズラ(ネペンテス)は、種で増やす方法と挿し木で増やす方法があります。
一般的には、挿し木で増やす方法が多いです。
なぜかというと、ネペンテス雄株と雌株がある植物です。そして花を咲かせるには、ある程度大きく育たないといけませんし、雄株と雌株の開花時期が、合わないこともあります。
種もデリケートで、手に入れたらなるべく早く植えないと、発芽しなくなってしまうんです。
業者様から種を買ったり、栽培家様にもらったとしても、なかなか育たないこともあるんですね。
そんな理由から、ネペンテスを増やす方法として使うのが、挿し木というわけです。
この記事では、ウツボカズラ(ネペンテス)の挿し木方法をご紹介しますが、私が普段行っているやり方です。
人により方法はたくさんありますが、一つのやり方としてお読みください。
目次
挿し木をするウツボカズラ(ネペンテス)を選ぶ
私がウツボカズラ(ネペンテス)を挿し木にする時は、ある程度育っている事、脇芽が出ている事、徒長してしまっているなどを基準に選んでいます。
なぜ脇芽が出ている物を選ぶかというと、万が一失敗してしまった時に、全滅せずに済むからです。
雑菌が繁殖してしまったなどの理由で、ダメになってしまったら悲しいですよね。
リスクを減らすために、脇芽の生えている物を選んでいます。
もっと他の選ぶ理由もありまして、私はネペンテスを室内温室で育てているので、温室に入りきらなくなったり、補虫袋が付かなくなったり、花が咲いて株が乱れてしまったので、リセットをするなんて時も行います。
今回選んだネペンテスは、N.ソレリー×アンプラリアです。
LEDで赤くなって見にくいですが、大きく成長し、花が咲いているこのネペンテスを、今回切り戻して挿し木にしたいと思います。
普段はこんな状態ではなく、もっとギチギチに他のネペンテスが植わっています。
あまり大きくない、室内温室で育てていると、結構邪魔になってしまうんですね。
夏ならいいのですが、冬はヒーターで加温しないといけなく、場所を取られると困ってしまうので、今回バッサリとカットします。
挿し木に使用する道具・物
挿し木をするために、必要な物をご紹介します。
使う物たちは、よく消毒・殺菌等をしておくと、成功率がかなり高くなるので、ぜひやっておいてください。
・よく切れる剪定バサミ
切れ味の良いハサミで切ることにより、切り口が潰れたりしなくなるので、成功しやすくなります。
・植木鉢
挿し木を植える植木鉢は、なんでも良いです。
家に余っている物や、安いスリットポットなどを用意しましょう。
・用土
挿し木に使用する用土は、水苔や鹿沼土などがあります。
今回私は、鹿沼土の大粒、小粒を使用しています。
・発根促進剤
発根促進剤は、メネデールやルートンなどがあります。
こちらは、使っても使わなくても大丈夫です。
今回は、ルートンを使用しました。
・バケツ
バケツは何でもいいです。
家にある物でかまいません。
挿し木の工程
挿し木に必要な物や道具を揃えたら、実際に作業していきます。
・バケツに水を張る
準備していたバケツに水を張り、置いておきます。
・ウツボカズラ(ネペンテス)を切る
まずネペンテスを、脇芽が生えている所で切ります。
一人で作業していたので、思いっきり指が写っていますが、脇芽を残し切り取りました。
切り取った本体の、葉っぱ半分と、補虫袋を先に切ってしまいます。
この段階で切る理由は、水の張ったバケツの中で、茎を切りたいからなんです。
水の中で、茎を切ることにより、切り口から水が浸透し、管が開いたままになり植物にいいらしいので、私は毎回この方法でカットしています。
葉っぱを半分に切る理由は、余計な蒸散を防ぐためと言われています。
メネデールを使う際は、この時に入れてもいいですし、細かくしてから漬けておいてもいいです。
葉っぱ2~3枚を付ける間隔で、カットしていきます。
なるべく長くカットした方がいいですね。
この時に、芽が出る所、下の写真で言うと葉っぱの付け根上部分にある、茶色い点が必ずあるように、カットしてください。
この部分がない状態で、カットして植えても成長してくれません。
必ずこの点があるように、カットしていきましょう。
カットしたら、30分~1時間ほど水につけておきます。
・植え付け
30分~1時間水に漬けたら、いよいよ植え付けていきます。
今回、発根促進剤のルートンを使用したので、付けながら植え付けました。
ルートンは、粉状になっているので、切り口をチョンとつけ植え付けます。
あまり付け過ぎないよう注意して、植え付けていきます。
付け過ぎた場合、振るって落としましょう。
写真は、成長点(先っちょ)の部分ですね。
用土は、鹿沼土単体です。
残りの差し穂も、どんどん植えていきましょう。
全部で7つに分けることができました。
挿し木の作業は、これで終わりです。
管理方法
挿し木の管理方法をお伝えします。
・水やり
差してすぐは、たっぷりと水をあげて、流れる水が濁らなくなるまで流してください。
ルートンなどの発根促進剤を使う場合は、差す前に流して置き、その後に差していきます。
挿し木して2週間ほどは、浅い腰水で管理します。
2週間たった頃から、通常の管理に移しましょう。
・温度 湿度
普通のウツボカズラ(ネペンテス)と同じように、高い湿度、温度を保っておきましょう。
経過報告
この記事で実際に挿し木をした、N.ソレリー×アンプラリアの状態を、一週間おきにお伝えします。
初日
私の部屋にある、ネペンテスの温室に入れておきました。
一番植物育成用のLEDが当たらない場所です。
腰水で管理し、受け皿水をこまめに変えています。
一週間経過
一週間が経過しました。
見た目はほぼ変わらずですね。
切り口が、腐らずにきちんと乾燥してきました。
芽が出るところも、ほとんど変化なしですが、今の所順調だと思います。
まとめ
挿し木の方法や、管理方法などをご紹介しました。
作業自体は、とても簡単に感じたと思います。
失敗の原因のほとんどが、雑菌の繁殖などによるものなので、ハサミやバケツ等の殺菌・消毒をきちんとしておけば、成功率は上がります。
他には、成長する部分がなかったり、水切れなどによる場合もあると思いますが、こちらは注意すれば大丈夫です。
今回紹介した方法は、色々なやり方の中の一つなので、他の方法がいいと思う場合もあると思いますが、一度試してみてください。