暖かい時期になるとホームセンターや、お花屋さんでよく見かける、奇妙なウツボカズラ。
葉っぱの先に特徴的な袋が付いていたり、普通の観葉植物とは違う、変わった見た目で購入する方が多いと思います。
買って育てて見ると、特徴的な袋がつかなくなったり、調子が悪くなったり、最悪枯れてしまうなんてことも。
ウツボカズラは、虫を捕まえる強いイメージと違い、とても繊細な植物なんですね。
しかし、ウツボカズラの生態や、育てるコツを知ることができれば、うまく育てる事ができます。
この記事では、ウツボカズラ(ネペンテス)の上手な育て方をまとめていますのでぜひご覧ください。
目次
ウツボカズラ(ネペンテス)とは
ウツボカズラ(ネペンテス)は、東南アジアなどの熱帯地方に生えている食虫植物です。
食虫植物は、他の植物との生存競争に負けて、土に栄養がないところや、厳しい環境を選んで繁殖しました。
その厳しい環境で生きていくため、虫などを捕まえるように進化しました。葉っぱの真ん中の所から、壺のよう形の補虫袋を付けます。
その補虫袋の中は消化液が入っていたり、内側がツルツル滑るようにできていて、落ちた虫が、這い上がれないようになっているんですね。
ウツボカズラは、低い所に生えているローランド種(低地性)と呼ばれるものと、1000m以上の高い山に生えている、ハイランド種(高地性)と呼ばれるものがあります。
同じウツボカズラですが、自生している環境が違うので、少し育て方も変わります。
よくホームセンターなどで見かけるウツボカズラは、ローランド種(低地性)と呼ばれるものが多いです。
理由としては、低地性のウツボカズラの方が、日本の気候だと育てやすいからなんですね。
ウツボカズラ(ネペンテス)は、違う原種どうしを掛け合わせる交配が簡単にできます。
これを交配種と呼び、交配種は親の特徴を引き継ぎ、補虫袋の形も変わります。
大抵の場合は、交配親より暑さや寒さなどに強くなるので育てやすくなります。(種類により変わりますが)
購入場所
ウツボカズラ(ネペンテス)の購入場所は、ホームセンターや、お花屋さんに置いてあることがあります。
写真の様に、立派な補虫袋を付けたものも、たまに見かけることができます。
しかし、店内のクーラーや暖房などの乾いた風を浴びたり、子供達にいじられ、調子の悪いものがあったりするので、気を付けて選んでくださいね。
状態のよいウツボカズラがほしいという方や、冬にも食虫植物がほしいなという方は、ネットで「ウツボカズラ 販売」や「ネペンテス 販売」と検索すると、アマゾンや楽天などで買えます。
もっと良いものがほしい場合は、食虫植物を専門に取り扱う業者もありますので、そちらも利用してみてください。
下の文字をクリックすると、業者様のHPに飛びますので、一度覗いて見ると楽しいと思います。
・Hiro‘s Pitcher Plants ・Hiro‘s Pitcher Plants Yahoo!店
ホームセンターなどには売っていない品種や、きちんとした環境だったり、品種が細かくわかるなどいいことが多いです。
私はよく利用していますよ。
日照
ウツボカズラ(ネペンテス)は太陽の光を、よく当てないとうまく育ちません。日照時間が足らないと、特徴的な袋をつけてくれなくなったりしてしまいます。
日光をよく当てようと徒長してしまったり、葉っぱが大きく育つんですが、補虫袋はすごく小さいなんてことも起きてしまうんですね。
しかし、直射日光を浴びせ続けると葉焼け(葉っぱが黄色く変色する)を起こしてしまう場合があります。
なので、朝などの斜めの直射日光だけを浴びせるか、遮光ネットを使って日光を調節してください。
種類によっても違いますが、よくホームセンターに売っているウツボカズラ(アラタなど)は、あまり気にせず、よく浴びせてあげた方がいいです。
補虫袋がコロコロ丸いアンプラリアも、直射日光によく当てると、元気に育ちます。
室内で育てる場合は、日光不足になりやすいです。その場合は、植物育成用のLEDを使用してみてください。
私は室内でも、ウツボカズラ(ネペンテス)を育てています。
育てている部屋は、二時間ぐらいしか日が差し込んできません。
なので、植物育成用のLEDを使用して、栽培をしています。
棚が三段になっていて、それぞれに植物育成用のLEDを取り付けてあります。
全部で5個使用しているので、熱がこもってしまったり、電気代の事など心配が絶えません。
使用しているLEDは、下の記事で紹介しています。
環境(温度・湿度)
ウツボカズラ(ネペンテス)は、熱帯地方の植物なので、暖かいところを好みます。
15~30℃ぐらいをキープしましょう。
暖かい時期なら、外でも育てる事ができますが、20℃を下回るようになったら室内で管理してください。
あまり低い温度や、湿度のまま育てると、ウツボカズラが元気をなくしてしまいます。
葉っぱも小さくなり、補虫袋も付かなくなってきます。
ハイランド種(高地性)のウツボカズラは、高温状態が苦手です。30℃を上回らないよう注意してください。
ホームセンターなどで売っているものは、低地性の物が多いので、夏は気にしなくて大丈夫です。
ウツボカズラは、湿度も高い状態を好みます。最低50%をキープすれば大丈夫です。下回ってしまう場合は葉っぱに霧吹きを(葉水)してくださいね。
冬の間は、温室やパネルヒーターを使って保温、保湿をした方がいいです。
私が実際に使っている物です。
記事にまとめてあるのよかったらご覧ください。
現在はもう少し大きいFHB-1508を使っています。
この二つを使わなくても、冬を越す方法があります。
よくホームセンターに売っている、プラスチックの大きい衣装ケースに入れ管理すると温度、湿度ともに多少キープすることができますよ。
用土
ウツボカズラ(ネペンテス)に限らず、色んな種類の食虫植物は、酸性の用土を好みます。
そして、あまり栄養がなく、水はけがよい物がいいですね。
この条件だと、乾燥水苔を使う方法と、鹿沼土を主体とする配合土を使うという二つの選択肢があります。
この二種類のメリット、デメリットを紹介します。
乾燥水苔
乾燥水苔は、よく使われる用土ですね。
水苔は、弱酸性で通気が良く、保湿性もあり、少しですが養分もあります。始めて育てる方は、水苔をおススメします。
デメリットとしては、長く栽培していると水苔自体が痛んでしまい、ウツボカズラの根が腐ってしまったり、調子を崩すことがあります。
年に一回、または2年に一回ぐらい、植え替えを行うと元気に育ってくれますよ。また、植え替えの際も、水苔に根っこが絡んでしまい取りにくいのが難点です。
おススメの乾燥水苔は、ニュージーランド産の物です。
繊維がしっかりしていて、劣化しにくいので使ってみてください。
配合用土
水苔以外で使えるものは、鹿沼土、赤玉土、日向土、ピートモス、パーライト、ココナツファイバーなどたくさんあります。
しかしこの中から、適切な物を混ぜて使うとなると大変です。合わない用土を使ってしまうと最悪枯れてしまう事も。
始めて植え替える方には少し難しいです。
栽培している環境や、人により様々ですが、私が育てているウツボカズラの用土は、鹿沼土、赤玉土、パーライト、ピートモスを混ぜて使っています。
鹿沼土や、赤玉土などは、使う前にふるいにかけて、細かい粉を落とすと、水はけがよくなりますよ。細かいことですが、ウツボカズラが、上手く育つコツでもありますので、ぜひやってみてください。
この配合用土のメリットは、頻繁に植え替えしなくて済むことや、植え替え時に古い用土を落としやすいことですね。
ですが、2~3年に一度は植え替えを行った方がいいです。
水やり
ウツボカズラ(ネペンテス)は、とても水を好みます。
水やりのコツは、表面が少し乾いて来たら、たっぷりと水をあげてください。毎日ちょっとずつ水をあげるのではなく、植木鉢から水が流れるまで、あげたほうがいいです。
完全に乾ききってしまうと、ウツボカズラは枯れてしまいます。
結構難しいですが、水苔の表面が少し乾いたなと思ったり、鹿沼土や、赤玉土が白くなって来たらあげてみてください。
育てている環境により変わるので、これがベストとは言いきれませんが、、、
冬は少し控え気味にしたほうがいいですが、調整が難しいので注意してくださいね。
植え替え
植え替えは、水苔の場合、1~2年に一度、配合用土の場合は、2~3年に一度が目安ですね。
時期としては、冬に行うといいのですが、ウツボカズラ(ネペンテス)の様子がおかしかったり、水苔が痛んできたと思ったら、植え替えてしまってもいいです。
植え替える際に気を付けることは、ウツボカズラの根を、なるべく切らず残すことです。ウツボカズラの根は非常に繊細で、細いものが多いので慎重に行いましょう。
水苔で植える場合は、水で戻したものを、根っこの周りを包むようにして植えます。あまりギチギチに詰め込まず植えてください。
植え替えをした後、2週間ぐらいは成長が止まりますが、根っこが動き出すまで日光に当てず、日陰で管理してくださいね。
なるべく、真夏の暑い時期は、避けた方がいいです。
増やし方
ウツボカズラ(ネペンテス)は、種から育てる実生と、挿し木で増やすことができます。
種から増やす
ネペンテスは、雄株と雌株があり一つの株だけでは、種はできません。
ちょうど同じ時期に、雄株と雌株が開花すれば、受粉させて種をとることができます。
他には、業者さんから購入する、輸入するなどしてください。
ネペンテスの種は、手に入れたらなるべく早く播かないと、発芽しなくなってしまうので気を付けて下さい。
挿し木で増やす
挿し木の場合は、十分に育った株が一つあれば、行うことができます。
挿し木を行う際は、ハサミやバケツ、植木鉢などをきちんと殺菌・消毒してください。
葉っぱを2~3枚付けてカットし、水を張ったバケツに30分~1時間つけ、水苔や鹿沼土に植えましょう。
植える時に、発根促進剤のメネデールやルートンなどを使っても大丈夫です。
2週間は腰水で管理し、その後は通常の水やりにします。
大体三カ月もすれば、しっかりした根が生えてきます。
新芽が出てきて少し育ったら、お好みの用土に植え替え、育ててください。
もっと詳しい挿し木の方法を知りたい方は、・ウツボカズラ(ネペンテス)を挿し木で増やす方法をご覧ください。
実際に挿し木を行いながら、説明しています。
まとめ
ウツボカズラ(ネペンテス)の育て方を書きましたが、私もまだまだ試行錯誤しながら育てています。
高地性の物、低地性の物で、育てる環境が異なります。ですがホームセンター等で売っているものはそこまで気にせず、お水をきちんとあげ、夏は外に、冬になったら室内で育てれば、すぐに枯れてしまうという事はありません。
冬は補虫袋が付きにくくなってしまったり、成長がとてもゆっくりになってしまうかもしれませんが、なんとか越せると思います。
変わった見た目で、意外と繊細な植物ですが、元気に育ってくれると、とてもかわいく感じます。
お子様の自由研究にも、もってこいの植物ですので、一度育てて見てはいかがでしょうか。
室内での育て方はこちらをご覧ください。
食虫植物は、まだ色々な種類があります。ぜひウツボカズラ以外の、食虫植物の育て方も、チェックしてみてください。